Japan Institute of Rhythm |
第53回例会
日時:2016年7月18日(月祝) 午前13:30-16:30(終了後懇親会あり)
会場:国立オリンピック記念青少年総合センター(東京・代々木)
http://nyc.niye.go.jp/ カルチャー棟音楽室(小練習室)35
参加費:会員500円、非会員1000円
問い合わせ: JIR事務局 office_jir08@yahoo.co.jp
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研究発表
「信時潔の神話的思考―交声曲《海道東征》の構造分析―」
川﨑瑞穂(国立音楽大学助手 →プロフィール)
発表者はクロード・レヴィ=ストロースの「構造人類学」を視座として、民俗芸能やサブカルチャーの音楽を研究している。本発表ではその一環として、信時潔(1887‐1965)の交声曲《海道東征》(1940)の構造分析を行う。最初に共時的視点から、この作品を大きく3つのエクリチュールに分類する。次に、これら3つのエクリチュールがどのように配列されているかという、作品の通時的側面に注目し、そこから弁証法的構造を析出する。最後に、楽曲分析から明らかになった信時潔の神話的思考がどのような文脈から生成されたものなのかについて、当時の「民間学」との関係から考察する。
「『調性と無調性の間に咲く妖しい“花”=「クリスタル和音」の性格と用例分析――バロックから現代まで――』」
見上潤(音楽アナリスト →プロフィール)
「クリスタル和音(Crystal Chord)」とは、「短3度・短3度・増3度」という構造の4和音であり、その特殊な響きが「キラキラ」した性格を持つがゆえ、島岡譲によって命名された音素材である。本発表は、バロックから現代にいたる実作品における用例の分析によって、痛みと甘さを兼ね備えた心理的屈折を表出する、この音素材が醸し出す妖しげな響きの正体を考察し、その多様な展開形態までを視野に入れることによって、調性と無調性に共通するソノリティーの仕組みを考察する。